2016/02/03

ドイツの町と紋章53 グライナウ


Wappen der Gemeinde Grainau

グライナウはガルミッシュの隣の小さな町で、人口は3400人。ツークシュピッツェに向かう鉄道はこの町を通り、2600mまで登ってゆく。
僕もツークシュピッツェに滑りにいくときに立ち寄った。ツークシュピッツェがどの自治体に属しているのかはよくわからない(何せ展望台にオーストリアとの国境があるくらいだし)。

紋章は、左に赤い口の熊の頭部が、右にアヤメの意匠が描かれている。熊の頭は、かつて「熊のふるさと」と呼ばれたバイエルン・アルペンの森で仕留められた最後の熊を想起させるものである。最後の狩猟は19世紀前半にフライジンク司教領の猟師長によりなされ、熊の頭はガルミッシュ林務官邸の記念像となった。アヤメの紋章はフォン・ハンマースバッハ家に由来する。

ドイツの町と紋章52 ガルミッシュ=パルテンキルヒェン


Wappen des Marktes Garmisch-Partenkirchen

ガルミッシュ=パルテンキルヒェンはバイエルン南部のマルクトで、人口は26000人。1935年、翌年の冬季オリンピック開催のため、ナチの要請でガルミッシュとパルテンキルヒェンが合併して誕生した。
スキーリゾートとなっており、僕もガルミッシュに滑りに行った。市内に宿泊するとバスや近郊電車に無料で乗れたりする。

紋章は左に鷲が、右に赤と白の帯が描かれている。これは合併前の両自治体とは関係がなく、当地を領有したエッシェンローエ伯の紋章である。紋章の制定はガルミッシュ=パルテンキルヒェンを中心とするヴェルデンフェルス伯領がエッシェンローエ伯により統治されていたという誤った認識に基づいてなされた。実際には、ヴェルデンフェルス伯領の創設はもっと最近の出来事であり、エッシェンローエ伯とは関係がない。これにより、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンの紋章は近隣の自治体エッシェンローエとほとんど同じものになったが、以上の経緯はおそらく冬季オリンピック開催に合わせて急いで紋章が用意されたことに起因している。

下図はエッシェンローエの紋章。

Wappen der Gemeinde Eschenlohe

2016/02/01

ドイツの町と紋章51 ムルナウ・アム・シュタッフェルゼー


Wappen des Marktes Murnau am Staffelsee

ムルナウはミュンヘンの南70kmに位置するマルクトで、人口は12000人。町からはバイエルン・アルプスを望むことができる。
ガルミッシュにスキーに行く途中に寄った。雪が深く、寒々としていたことを覚えている。

紋章には舌と爪が赤い、左後ろを向いた緑のリンドヴルム(龍)が描かれている。いつ龍が紋章に現れたのかは知られていないが、町の最古の印章(1374年)に既に登場している。龍の由来も不明だが、16世紀以来色も変わらず同じ意匠が用いられ続けている。


龍のいる市役所。

P2090008