ウィーンに到着した2月から現在まで、何度か公式のコロナ政策に変化があったので、後世のために一応まとめておきたい。
まず、2月下旬の到着時は、政府がいわゆるハード・ロックダウンを解除し、飲食店やホテルの営業を停止する一方、商店や図書館・博物館は開いているという状況だった。そのため、入国時の隔離のあとは、直接足を運んで必要なものを買いそろえることができた。
しかし、3月に感染者、特に重症患者が急増し、状況が深刻な東部三州(ウィーン市、ニーダーエスターライヒ、ブルゲンラント)では4月初旬のイースター休暇に合わせて再度ハード・ロックダウンが導入されることになった。当初、この措置は一週間程度と予告されていたが、開始時点で4月11日の日曜日までの継続に変更された。この期間はスーパーを除く商店や図書館などが完全に閉まり、「健康維持」目的以外での外出が24時間禁止された。実際はそこまで厳重に外出目的のチェックがある訳ではなく、公園での散歩などが咎められることはなかった。ただ、暖かくなった3月の下旬は野外でピクニックをして集まる若者の姿が目立ち、特に人が集まるシュテファン広場、ドナウ運河などにマスク着用義務が定められ、監視のために警察が配置された。
マリア=テレジア広場もマスク着用義務対象 |
5月3日に再び商店が開く前から、政府は5月19日にレストラン、ホテル、スポーツ施設、劇場などを再開すると述べ、その後具体的な規則が練られていくとともに、EU内の一部の国からの入国時隔離義務を撤廃することも明らかになった。既に商店などの再開から2週間近くが経ったが、感染者は減り続けており、予定通り19日に緩和措置が取られることは確実である。レストラン、ホテル等の利用には、陰性/接種/回復証明書の提示が義務付けられる。ワクチン接種の順番が来ていない現時点の我々にとって、このルールはカフェやレストランに入るためだけに毎度検査を受けなくてはならないことを意味する。ウィーン市にはドラッグストアで受け取った検査キットを用いて自宅で検体を採取する制度があるが、それでも面倒であることに変わりはない。
19日以後どうなるかは何の専門知識もない自分には知るよしもないが、フォアアールベルク州の経過はやや希望を持たせてくれる。フォアアールベルクでは感染者数の少なさから3月に例外的にレストランなどの営業が解禁し、その後の緩和のモデルとして動向が注目されていた。緩和直後の4月、フォアアールベルクでは感染者が急増して今後が危ぶまれたが、ワクチンの効果か、あるいは感染者急増自体が緩和に伴う検査数増加の結果だったのか、ともかく5月に入って感染者は再び減少フェーズに入った。ただ、もちろん人口密度の高いウィーンでは全く異なる経過を辿る可能性も十分あるだろう。
全体として、今のオーストリアには楽観的な雰囲気が漂っている。市民は19日の緩和措置とその後の夏季休暇を心待ちにしており、おそらくその雰囲気が現在進行中の政権党のスキャンダルへの関心を下げている。日本では各種変異株の動向が注目されているようだが、こちらでは冬にはすでに英変異株への入れ替わりが完了してそれを前提とした対策が講じられ、まだインド変異株は交流の少なさからかそれほど入ってきていないようで、大したニュースにはなっていない。ワクチン接種スピードは西欧ではおそらく平均的で、保健省によれば、今のところ接種可能人口の40%弱が一度目の接種を完了している。
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