2015/07/05

2015/7/5


・発表について

先日歴史学科のゼミで発表を行った。留学生活はまだ一月残っているが、かなり入念に準備して臨んだので、この一年の集大成として位置付けていた。一応、ここでまとめておく。

ゼミは19世紀のガリツィアについてのゼミであり、僕は「ロシアから見たガリツィア(Galizien aus russischer Perspektive)」という題で発表した。他の学生はだいたいハプスブルク支配と関連する発表をしていたので、少し異なる視点を提供できたとは思う。ドイツ語に自信がなくほぼすべての文章を原稿にした結果、理論と実践の分析から結論を導き出すかなり論文的な構成になってしまったのは、今のドイツ語力の限界だろう。とはいえ、日頃ほとんど会話していないにもかかわらず、意外とすらすら喋れたのはよかった。

内容は、ガリツィアのウクライノフィルやポーランド人が喧伝した「ロシアの脅威」「狂信的汎スラヴ主義」「ルソフィルとの共闘」「ウクライナ人の抑圧」などのテーゼをロシアの側から検証するというもので、まずロシアのナショナリズムはウクライナ人に対して抑圧的というより統合的であったということを全ロシア人概念から示し、次に実際のガリツィア政策ではハプスブルクの王朝的正統性を重んじたツァーリとロシア政府が積極的な介入を嫌ったため、ルソフィルへの支援やプロパガンダ活動も限定的だったことを述べた。ネイション概念についてはAlexei Miller、ルソフィルとの関係についてはAnna Velonika Wendlandを主に参照した。

ほとんど発表準備を始める前はほぼ何も知らなかったテーマなので、自分としてもそれなりに有意義な発表だった。ただ、今回のような「ロシアの脅威」の反証が狙いとなるとどうしても「ガリツィアはロシア帝国の政策においてそれほど重要ではなかった」という結論に至ることになり、この視点をこれ以上深めるのは難しそう。純粋にロシア史の文脈からロシアにおけるガリツィア・イメージの変遷を検討するとかなら面白そうだが。

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