2014/11/14

2014/11/14


・読んだもの

Fedyshyn, Oleh. “The Germans and the Union for the Liberation of Ukraine, 1914-1917,”  in Taras Hunczak (ed.), The Ukraine, 1917-1921 : A Study in Revolution. Cambridge, 1977

第一次世界大戦時に中欧列強の支援を得て活動していたウクライナ解放同盟(定訳はあるのか?)を主題とする論文。まずウィーンに拠点がおかれ、やがて1915年にベルリンが活動の中心となった。
ウクライナ・ナショナリズムに寄り添う立場ではこの組織の意義を過大視してしまいそうだが、本論ではこの組織が戦前の中欧列強の拡大志向になんら根を持っていないこと、また金銭的支援も比較的少なかったこと、そして中央ラーダの1917年から18年にかけての革命行動は解放同盟とは全く独立して生じたことが示されている。直截的には述べていないが、著者は「ドイツとオーストリアは長らくロシア帝国の解体のためウクライナのナショナリストを陰で支援しており、第一次世界大戦で敵国となって以後はそれが大々的に行われ、中央ラーダもドイツの手先として行動していた」というロシア寄りの史観に反論しているように見える。むしろロシアと帝国秩序を共有していたドイツとオーストリアが(ポーランド分割の共犯関係、等々)、ロシアが解体しその秩序が崩壊するのを望むはずがない、と帝国論的な視点もあって興味深かった。

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