2014/11/21

2014/11/21


・読んだもの

①Bihl, Wolfdieter. „Einige Aspekte der österreichisch-ungarischen Ruthenenpolitik 1914-1918,“ in Jahrbücher für Geschichte Osteuropas 14, 1966
②Bihl, Wolfdieter. „Die Beziehungen zwischen Österreich-Ungarn und Russland: in Bezug auf die Galizische Frage 1908-1914,“ in Karlheinz Mack (Hg.), Galizien um die Jahrhundertwende: Politische, Soziale und Kulturelle Verbindungen mit Österreich. Wien/München, 1990

①は第一次世界大戦時のハプスブルク帝国のルテニア人政策を扱った論文。「ウクライナ人」への改名問題から新暦の導入、難民、捕虜兵など多くの領域についてそれぞれ軽く触れるという感じで統一的な「ルテニア人政策」像はあまり見えてこない。在米ウクライナ人組織の活動は初見であり、ハンガリーが既にかなり国民国家的価値観で帝国政府に反発していたことがわかったのは収穫。

②は第一次世界大戦直前の墺露関係を主題とした論文。ボスニア併合以後のバルカン危機がまず前面におしだされがちだが、ガリツィアも対立の焦点の一つだった。ガリツィアのポーランド人、ウクライナ人に加え帝国政府、ロシア帝国政府、ロシアのポーランド人など様々なアクターに着目し、①よりかなり厚みがある(まあ24年後だし)。特に墺露対立が先鋭化するほどポーランド、ウクライナのそれぞれのナショナリストは利益を引き出しやすくなるため、境界地域では対立が煽られることもあった。


このWolfdieter Bihl(1937-)という人はオーストリアの歴史家で、まあ「自国史」としてこのテーマに従事していたようだ。博士論文は「オーストリア=ハンガリーとブレスト・リトフスク講和」。教諭資格を得たのは「中欧列強のコーカサス政策1914-1918」。専門は中欧列強と東・南ヨーロッパ、オリエントとの関係であり、ウクライナ、オスマン帝国、第一次世界大戦の歴史が中心である。1977年にウィーン大学の教授となり、2002年に退職した。2010年に第一次世界大戦の通史を出版している。

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