2015/03/11

2015/3/11


・旅行メモ

3.7
朝遅めに起床し、まずウクライナ国立歴史博物館へ。巨大な建物に四フロアに渡って古代から現代まで詳しい展示がなされており、ウクライナ国民国家の「ウクライナ史」の解釈を知る上ではこれ以上ない博物館である。当然ながら、ウクライナ民族などという概念が生まれる前の話も、クリミアを含む現在のウクライナの領域に関わることなら「ウクライナ史」の構成要素とされている。ここにマイダンの展示スペースが既に設けられているのは予想通りであり、特に目くじらは立てず。
その後、書店街があるというペトリフスカへ。古本の露店が大量に並んでおり、見てみるとロシア語の本がほとんどのようだった。苦心してウクライナ語―英語辞典を見つけ出し購入。
夕方は土曜日で歩行者天国となっていたフレシチャーティクを歩き、チョコレートハウスなどの有名な建築物をいくつか眺め、最後にマイダンで再度慰霊碑や花束を見て回った。ミュンヘンも大きな町だが、キエフはもう一段階上という感じで、まだまだ過ごせそうだった。
夜キエフ駅へ向かい、ミンスク行の夜行列車に乗る。ウクライナ国内では全く停車しないらしく、出国手続きは発車前に車内で行われた。国境で起こされるのが短時間で済むのは良い。

3.8
無事トランジットビザでベラルーシに入国し、ミンスクに到着。しばらく気が付かなかったが、ミンスクはキエフより一時間早く、モスクワと同じ時差らしい。
町では重厚な社会主義建築に囲まれ、日曜日ということで閑散としたレーニン広場にまず驚く。レーニン像も現役である。ここから勝利広場あたりまでの大通りはスターリン様式建築目白押しで、他のヨーロッパの首都ではまず見られない街並みだった。一方で教会などのある旧市街は観光地化が進んでおり、また現代的な高層ビルも立ち並び、統一感のないなかなかカオスな風景も見ることができた。
店を間違えて昼食に2000円とられたのち、ウスホート駅近くの教会と国立図書館を見に行った。ロシア風の木造教会を初めて見れたのはよかった。日曜日だからかもしれないが、市内中心部だけでなくこのあたりにもカメラを持った人々の姿があり、ミンスクが意外にも観光地と見なされていることがわかった。
夜は二日連続の夜行でリガへ。三等寝台続きは辛いので、一等の個室をとった。ミンスクだけを訪れるとウクライナよりだいぶ豊かな印象だが、カーメネツなどと同等の田舎にも行かないと判断はできない。

3.9
定刻通りリガに到着。タリン行のバスへの乗り換えが30分しかなかったので遅れられたら困る。
バスはバルト諸国のバス界を支配するLuxExpressで、車内Wifiやコンセントなどがついた西ヨーロッパ仕様であることはもちろん、無料でコーヒーや紅茶が飲めるサービスもあった。快適な椅子にもたれ綺麗な窓から外を眺めながらきちんと整備された道路を走っていると、ヨーロッパに戻ってきた安心感でつい気が緩む。
宿に着いてから数時間、タリン市内観光。立派な市庁舎や教会、入り組んだ旧市街、高台からのバルト海の眺めなど観光資源はそろっている。エストニア語の通りの名前がいちいちかわいかった。

3.10
タリンを早々に去り、鉄道でパルヌゥへ。バス路線が充実したバルトで鉄道に乗ったのはただ鉄道に乗りたかっただけだからなのだが、非常に現代的な車両であまり列車旅の情緒はなかった。ただ、本当になにもないところを走るというのは鉄道だけの醍醐味。
パルヌゥはバルト風なのか北欧風なのか知らないがとりあえずカラフルな木造建築の多い町で、初めて見る街並だったので歩いているだけで楽しめた。夏はにぎわっているであろうビーチにも一応行ってみたが、商店はシャッターを下ろし、誰もいない砂浜で風だけが吹き荒れていた。
パルヌゥからリガまでは再びLuxExpressを利用。リガもタリンと同じ旧ハンザ都市で旧市街がメインの町だが、とりあえずタリンよりは大きそうな印象だった。既に夕方だったので少し町を歩いた後、ペリメニを食べて宿に戻った。

3.11
この日は一日リガ観光。
旧市街を一通り散策し、正教会の聖堂を訪れたあと、ラトヴィア歴史博物館へ。ここはウクライナのものと比べると小規模な展示だったが、ラトヴィア史の観点はなんとなくうかがい知れた。50年弱のソ連時代は占領の歴史として自国史からは排除するというのがラトヴィア史的な歴史認識らしい(ナチの占領と併せて50年の「占領の歴史」を展示する「占領博物館」も別で存在している)。ボリシェヴィキの主力だったレット人狙撃兵についての言及も少なかった。戦間期のウルマニス時代の解釈が良くわからなかったのが残念。
その後は中央市場や倉庫街を見に行ったが、昼過ぎにはすることがなくなってしまった。半日は他の町に行けばよかったと思いつつ、今からでは間に合わない。旧市街のカフェでコーヒーを飲み、夕方には宿に戻った。

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