2015/03/13

2015/3/13


・旅行メモ

3.12
この日はリガを出発しヴィリニュスに泊まることになっているが、行程の軸となるのは途中で寄る十字架の丘である。理由あってここの訪問はこの旅のメインイベントとも言える位置づけだった。
まず、十字架の丘への拠点の町、シャウレイへの切符を買いにバスターミナルへ。しかし乗るつもりだった朝のバスは既に満席ということで、昼の便を提示された。それでも15時にはシャウレイに着けるので、そのバスの切符を買った。空いた3時間は鉄道で近郊のユールマラへ行き、パルヌゥに続いて再び閑散とした砂浜を歩いてきた。前と同じく風が強く寒かったが、晴れていたので気分はよかった。
リガを出たバスは定刻通りシャウレイに到着。バスが満席なのは十字架の丘目当ての観光客が殺到しているからだと思っていたら、普通に地元の人が利用しているようだった。車がマルシュルートカなのも席がすぐ埋まる要因だろう。シャウレイのバスターミナルでは窓口で丘に向かう路線バスの時刻表をもらった。荷物を預け、15:40のバスにDumantaiまでの切符を買って乗り込む。
このバスこそ十字架の丘へ向かう観光客でいっぱいだろうと思っていたらまたもや外国人は僕一人で、ただの地方の路線バスである。停留所の案内などなく自分で降りる場所を見極めなくてはならないが、運転手に直接行き先を告げて切符を買っているし、外国人は僕一人で運転手も存在を認識してるだろうし、知らせてくれるだろうと楽観していた。シャウレイの市街地を抜けてしばらく経ち、数人が降りる停留所で運転手が僕の方を見て降りろと合図。僕は一応運転手にここでいいのかとジェスチャーで尋ねると、無言で今走ってきた道、シャウレイ方面を指さした。とりあえず下車する。
降りてもそれらしき気配がないので戸惑いながら周囲を見回していると、親切な人がロシア語で話しかけてくれた。地図とか持ってないのかと言うのでバスターミナルで貰った時刻用のDumantaiの文字を示すと、「反対だよ!反対!」と彼もシャウレイの方を指さした。案内などは全くないが、とりあえずそちらに歩き始めるしかないようだ。
歩き始めてすぐ、シャウレイまで18kmの標識が目に入る。事前の下調べではシャウレイから十字架の丘までは12kmということだった。ここでバスを降りて周囲に何もなかったときに抱いていた不安が現実であると分かった。運転手はDumantaiで何も知らせてくれずそのまま通過し、6kmも先の村で僕を降ろしたのだ。
選択肢はいくつかあったが、とりあえずDumantai方面へ歩き始めることにした。車道の脇に人が歩ける広さの砂利道はあったが、その後歩いた30分一人もすれちがわなかった。1kmおきに数十世帯規模の村が現れるほかはひたすら畑が広がっている。もしDumantaiまでの距離が6kmならば次のバスまでの時間でギリギリ歩き終わる計算になる。その前にバスはなく、十字架の丘に向かうことは既に諦めていた。何より先ずリトアニアのド田舎でいかに都会シャウレイへ安全に帰還するかを考えていた。
2kmほど歩くと停留所を発見。歩ける間隔で停留所はあることがわかり、とりあえず次の停留所までまだ歩き出す。そしてまた1kmほど歩くとやはり停留所を発見。そこでシャウレイ方面の時刻表を見ると、次のバスは17:21発となっている。バスターミナルで貰った手許の時刻表によれば、Dumantaiから乗る予定だったバスは17:27発である。すなわち、今いる場所からDumantaiまでは車で6分の距離である。30分早足で歩いて既に疲れ始めており、ここで歩くのは諦めて40分ほど先のバスを待つことにした。
幸いだったのが、停留所のベンチで休んでいたら時刻表に乗っていないバスが止まって乗せてくれたこと。こんなところで一人東洋人が乗ってきて運転手も驚いたに違いない。時間的にはこのバスでDumantaiに向い再度十字架の丘に挑戦することもできたのだが、都会に帰りたくて仕方がなかった僕は迷わずシャウレイへの切符を購入。バスに乗って数分、外を注視していると「←十字架の丘」との小さい標識が目に入った。しかし丘自体は全く見えず、どうやらバスを降りてからしばらく歩かねばならなかったらしい。それにこんなに案内がちっぽけだとは思っていなかった。
やがて無事シャウレイに到着し、まず文明の象徴ショッピングモールでしばし足と心を休める。シャウレイの町を観光する時間もあったが、大人しくショッピングモール内のハンバーガーショップに籠っていた。なんといっても十字架の丘に行けずじまいだったというのは悔やんでも悔やみきれない。朝のバスの切符を昨日買っておけばよかったとか、下調べが足りなかったとか色々反省しつつも、最終的には素知らぬ顔でDumantaiを通過した運転手を恨むということで落ち着いた。文明国からの観光客を路頭に迷わせてほくそ笑むのが彼にとっては日々の労働のせめてもの慰めなのかもしれない。
ヴィリニュスに着いたのは22時過ぎ。旧市街は静かで人気も少なかったが、地図を頼りに宿に辿りつけた。久しぶりに賑やかな宿だったが、田舎で心細かったこの日はそれにも嫌な気分にはならなかった。

3.13
傷心から一夜明け、平常運行でヴィリニュスの町を歩く。旧市街の面積は東ヨーロッパ一らしい。教会などの名所を回って昼過ぎには満足した。港町であるタリン、リガとは雰囲気も違う。また、住宅街を少し覗いてリトアニアがバルト三国で一番貧しいというのも分かった気がした。
夕方は近郊のトラカイへ。ここは湖上の島に建てられた城で有名で、せっかくなので入場料を払って中にも入った。湖畔から見ると城が湖に浮かんでいるようで、なかなか珍しい光景。
夜ヴィリニュスに戻り、夜行バスでポズナニへ。今回のバスはLuxではないSimpleExpressで、無料のコーヒーはないらしい。

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