Sanborn, Joshua. “The Russian Empire,” in Robert Gerwarth/ Erez Manela (ed.), Empires at War
1911-1923. Oxford/N.Y., 2014
第一次世界大戦を帝国という視点から見た論文集のうち、ロシア帝国を扱う章。ロシア帝国の大陸帝国としての特徴とそれに伴う境界地域の重要性について述べられたあと、開戦直前から内戦後のソ連成立期までの歴史が通史的に描かれている。帝国がテーマであるゆえ実際の戦闘ではなく、既存の帝国統治が戦争の過程でいかに崩壊していったかが焦点となっている。著者によれば、開戦当初から政府が文民主導の秩序を保つことに失敗したため、戦争と混乱が長引くにつれ境界地域には権力の空白地帯が生じ、そこで現地の分離主義的なナショナリズム勢力は自らの政体の建設を試みていった。二月革命で帝国は崩壊し、ナショナリストの一層の伸長をもたらしたが、十月革命後の内戦はボリシェヴィキがかつての帝国国土のおおよそを征服するという形で終結した。土着のナショナリストに冷淡に振舞った白軍とは異なりボリシェヴィキは各ネイションに文面上は自決権を認め、「原理的には連邦制、実際にはボリシェヴィキ一党支配」の新たな帝国が誕生した。
特に新しい情報はないが、とりあえず久々にロシア史に触れたということで。Eric Lohr, Peter Holoquist, Peter Gatrellあたりには帰国したらちゃんと目を通そう。
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