2015/02/03

2015/2/3


Jones, Heather. “The German Empire,” Robert Gerwarth and Erez Manela (ed.), Empires at War
1911-1923. Oxford/N.Y., 2014

地球規模の帝国間戦争として第一次世界大戦を捉えた論集のうち、ドイツ帝国を扱った章。大戦中の言説で「ドイツ帝国」という語は、主体の立場に応じ、1871年に誕生したいわゆる"Reich"、Mitteleuropa構想に代表されるようなヨーロッパ大陸帝国、アジア、アフリカ、中東、太平洋に領土を擁する植民地帝国の三つを含意しており、さらにそれらが交差した複雑な構造を持っていた。帝国概念が三重だったとするこの見取り図は、海洋帝国とも大陸帝国とも分類できないドイツ帝国の特殊性を理解するうえでとても分かりやすい。

Reichの「内的植民地」とも呼ばれる分割ポーランドの問題はやや後景に退いている気もするが、ドイツ帝国自身がイギリス・フランス型の国民国家=帝国を目指していたことを念頭におけば、同時代の帝国概念の見取り図としてはむしろ適切かもしれない。
その他ためになる指摘も多く、大きな話が好きな僕としては最近流行の暴力とかについて読むより楽しかった。少なくとも序章とロシア帝国、オーストリア=ハンガリーの章は読まなければならない。

著者のHeather JonesはLondon School of Economicsの歴史家で、専門は第一次世界大戦。詳しくは良くわからないが、出身はダブリンのトリニティ・カレッジのようだ。トリニティ・カレッジの図書館行きたい。

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