・読んだもの
Borowsky, Peter. „Paul Rohrbach und die Ukraine. Ein Beitrag zum Kontinuität Problem,“ in Imanuel Geiss und Bernd Jürgen Wendt (Hg.), Deutschland in der Weltpolitik des 19. und 20. Jahrhunderts. Düsseldorf, 1974
ドイツ言論界の重要人物であったパウル・ローバッハのウクライナ論についての論文。19世紀末から戦後の冷戦期に渡る長い文筆生活において、ローバッハは一貫して東ヨーロッパにおけるウクライナ問題の重要性とウクライナ国民国家がドイツにもたらしうる潜在的利益を主張し続けた。保守派のドイツ・ナショナリストであったローバッハだが、第一次世界大戦では現地のナショナリズムを無視しひたすらドイツの影響圏への編入をかかげる全ドイツ派や、地主や君主主義者と近しいスコロパツキイをウクライナ国の首領にすえたOHLとは対立した。ワイマール下でもウクライナ問題を主題とした雑誌を刊行し、ナチ政権下でも文筆活動を許された。ローバッハ自身は倫理的な理由で初期よりナチ党に批判的であったが、東方政策についての主張は重なる部分も多かった。戦後は第二次世界大戦でのナチス軍のウクライナでの蛮行を批判し、引き続きソ連切り崩しのためのウクライナ・ナショナリズムの重要性を強調した。
ローバッハの周辺の人物としてアクセル・シュミット、ヨハネス・ハラー、オットー・ヘッチュ(主張は逆だが)などがいるが、このへんの一次大戦でロシア問題や東方政策について語っていた人々をいずれ整理しなければならない。ハラーとヘッチュについては日本語の論文がある。
前川陽祐「第一次世界大戦期ドイツにおけるオットー・ヘッチュとヨハネス・ハラーによるロシアをめぐる論争 : 政治議論としての歴史論争」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』54-4、2009
前川陽祐「ヴィルヘルム期ドイツにおけるオットー・ヘッチュの東方政策論の形成過程1900-1914 ―ロシア論・ポーランド論を中心に―」『立正西洋史』26、2009
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